研究内容・目標

研究室の3つの目標

1. ビジョンを論理的に組み立てられること

微生物生態学を通して、生物の多様性や環境をテーマとするサイエンスを修めるためには、先を見通す力、すなわちビジョンの構築が必要です。環境汚染をもたらす産業構造などの社会的背景の解析を行い、自分の研究の成果がいかに社会に還元され、どのように貢献するのか、ビジョンを論理的に組み立てられること。

2. オリジナリティーあふれる研究活動を行うこと

豊かな生態系や遺伝資源を有する日本の利点を活用し、さらに伝統ある独自の日本文化でスパイスを効かせたオリジナリティーあふれる研究活動を行うこと。

3. 広い視野をもつ魅力あふれる人間となること

効率よく実験を行い、結果を得るだけの単なる歯車としての研究者でなく、広い視野をもつ魅力あふれる人間となること。

エンドファイトとは?

植物の根からは、糖、アミノ酸、さらにビタミン類等の栄養物が分泌されるため、それらを求めて数多くの微生物が集まります。それら微生物の中で、貧栄養の森林土壌をすみかとする根部エンドファイトという菌類がいます。

この菌類は、土壌中から根の細胞内へ侵入し、表皮と皮層細胞をすみかとします。植物は、この菌類の侵入を受け入れることで、植物単独では利用できない窒素やリン酸の供給をエンドファイトから受け、そのため、貧栄養条件でも生育できます。一方、見返りとして、光合成産物としての炭素源をエンドファイトに提供し、お互いが相利共生関係にあります。

さらに、このエンドファイトがすみついた植物は、病気に強くなることも知られています。このエンドファイトは、化学農薬のように病原菌に直接作用するのではなく、病原菌よりも先に植物にすみつくことで、植物を守っているようです。いわば、予防接種のような効果があると考えています。

研究の展望

自然界では、植物も微生物と相互依存の関係を保ち、お互いに繁栄してきました。植物の生育は微生物に支えられていると言っても過言ではありません。

しかし、近年、人間の営みによって、自然な回復は望めないほど地球環境が急激に破壊されています。そのため、微生物の支えを失った植物が次々に枯死し、砂漠化等が進行しています。

当研究室では、未知の微生物、特にエンドファイトを研究することで、植物栽培の困難な土地の緑地化、農耕不適地の克服や環境浄化、次世代の環境を守る持続型の農業技術開発などを目指しています。